祭壇
葬儀の‟ちから”を強く感じたお話。

 逝去を知らせる電話が弟さんからお寺に来たのは、3月20日。
連絡のつかなかった一人暮らしのお姉さん(53歳)が、自宅で亡くなっていたとのこと。
亡くなって数日経っていたため腐敗も進んでいて、警察での検死が終わりお寺へ搬送されると、すぐ納棺師さんに来てもらい、
諸々整えてもらいました。
口の周りは傷みがひどかったので、マスクを着け、何とか遺族の皆さんに見てもらえるような状態になったのですが、
納棺師さんの「やれることは、全てやりました。」という言葉に、今まで無口だった一人息子さんが声を絞り出し、
「ありがとうございました。」と、大粒の涙をこぼしながらおっしゃったのです。

 故人の好きだった色は、赤と紫とピンク。祭壇のお花はそんな色にしてもらいたい。という遺族の話を聞き、
花屋さんが作ってくれた祭壇を見て、息子さんが
「自分のイメージ通りの色です。ありがとうございます。」

 昨日の夜は、お通夜という式は行わなかったものの、同級生やら、生前故人と親交の深かった方々がみえ、
故人とのお別れをされました。
そして、今日の葬儀。お経や戒名の説明にも納得してもらいました。 

 息子さんは、「母親に迷惑をかけてばかりだったし、もっと連絡をとっていればよかった。後悔しかありません。」
とおっしゃっていたけれど、故人がお寺に搬送された時の表情とは全く違う表情だったし、少しずつ心が癒されて
いるのを感じました。

 一人の亡き方を送る(葬儀をする)のに、例えば納棺師さん、例えば花屋さん、例えば葬儀屋さん、例えばお坊さん
というたくさんの専門職の方々の力があって、遺族は故人との別れを受け容れ、納得するのだと改めて教えてもらった
ような気がします。
故人の顔がきれいになること、故人を偲ぶことができる祭壇であること、ひとつひとつに、こうやって
遺族(特に息子さん)は癒されていくんだな。
 訃報から怒涛の4日間でしたが、葬儀のちからを強く感じ、そしてそのお手伝いができる中の一人であることを
誇りに思ったのでした。

↓故人の弟さんが、供物をお寺に奉納するので、                20210323_184803 (2)
お寺で使えるお菓子にしてほしいとおっしゃって
くれたため、このようなお供物ができました。
これは嬉しい!! ありがとうございます。
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